「過疎こそ財産だ」
「日本で最も美しい村」連合の松尾雅彦副会長のお言葉が実感できる大鹿村でした。
まだまだ日本の美しさが残っている大鹿村でした。
秘境のような場所にありながら文化の香りのする大鹿村でした。
「日本で最も美しい村」連合のロゴマークを見たことはありませんか?
このロゴは、山、川、森、そして畑や水田が広がる日本の村の風景を美しく描いています。また、全体として家の形になっているのは、この美しい日本の村の風景は実は自然と人間の共同作業によってできたものであることを暗示しているのではないでしょうか?私は、日本の風景は我々の父祖が長い長い時間をかけて作ってきたものなのだと信じています。
しかし、全国でいまその美しい風景の村や地域が過疎や高齢化で消滅の危機にさらされています。現に消滅の危機にされされている集落の数も発表されています。
(国土交通省の集落状況調査によれば)10年以内に消滅の可能性のある集落が422集落、「いずれ消滅」する可能性のある集落が2219集落、合わせて2641集落ある。
「限界集落」@wikipedia
この背景にはいろいろな問題があると言われていますが、同じような危機を見事に乗り切った「フランスで最も美しい村」運動を範に、日本でも村、地域が手を結んでこの危機を乗り切ろうする運動に取り組んでいらっしゃる方々がいらっしゃいます。
実は私も以前この運動が盛んな南フランスに家族で旅行に行かせていただき、すらばしい体験をしました。ほんとうに一時は南フランスも荒れ果てていた時代があるのだそうですが、いまはすばらしい街並みが広がり、世界中から人が集まってくる観光地になりました。
自然と人の生活が実にバランスよく共存しているだけでなく、古い街にも画廊があったり、最先端のブランドのお店があったり、生活に根ざした手作りの品物がおいてあったり、実に風情がありました。それも「フランスで最も美しい村」の結果であったのかもしれません。
そうそう、「木を植えた男」という絵本をご存知ですか?この絵本は実在の人物の実話に基づく南フランスの再生の物語なのだそうです。
話を日本にもどせば、今回の「日本で最も美しい村」連合の総会で、北海道標津町と岐阜県下呂市馬瀬が新たに加わられ全国で合計11の村・地域が加盟していらっしゃることになったのだそうです。それに、多くの個人や企業のサポーターの方々がこの運動を支えていらっしゃいます。私はまだ準会員にすぎませんが、この運動に参加させていただく機会をいただいたことをうれしく想います。
ま、のっけから固い話になってしまいましたが、大鹿村は聞きしに勝るすばらしい村でした。
車で行ったのですが、中央自動車道の松川のインターを降りてから山へ入り、深い深い渓谷ぞいのうねった道をどこまでどこまでも登っていっても着きません。多少不安に感じながらも、トンネルをくぐるとのどかな日本の村の風景が出てきました。
大鹿村の真価はこの美しい風景だけではありません。お昼から文化の高さに驚かされました。
写真は「ろくべん」というのだそうですが、村で歌舞伎を見るときに家いえで用意して、右手に写っているお重に、左手の小さなお弁当箱を六つ重ねて入れて持ってくるのだそうです。今回のメニューは観光協会の方々がこころをこめて江戸時代にお役人をもてなした時の材料を生かして作ってくださったものだそうです。
このお昼の時に、太鼓とYOSAKOIで若者たちがおもてなししてくださったのですが、あまりの情熱に圧倒され写真をとりそこねてしまいました。すみません。
午後はフランスの視察の報告や各村むらから活動の報告などがありました。私の住む街でも、商店街を村にたとえるならそのままあてはなる事例がいっぱいありました。また、行政の方々のご苦労が本当に伝わりました。頭が下がります。
そして、いよいよ大鹿歌舞伎です。
これがなんともものすごい!感動のあらしでした。演目は「神霊矢口渡」でした。
画素の粗い携帯で撮ったものですが、動画もアップしてみました。
あまりこれまで歌舞伎に縁はなかったのですが、本当に役者さんの表現のすばらしさ、三味線とお歌だけであそこまで盛り上げてしまうそのお力、黒子の方からすべての方の協力、すべてがすばらしく伝わってきました。
お土産には、「大鹿ジビエ」を買ってきて大変好評でした。
恒例のアルバムです。