日本建築の美と合理

建築の末の末に携わるものとして、本当に勉強になりました。ひとつひとつの建物を見ていても美しいですし、全体としてこの素晴らしい建築の天国を作られた原三渓さんの美意識を感じました。

私のつたない感想は　↓　のアルバムのキャプションに書いて力尽きてしまいました。今回特に軒のおさまりとお茶室の間取りが気になりました。

三渓園

施設の貸し出しも行われているということなので、ぜひ次回は仲間とここで勉強会をしたいものです。お茶会とはお茶の心得のない私にはいえないのが残念です。

・貸出施設のご案内

あらためて思うのは、日本の建築の合理性です。これだけ由緒のある建物を移築できてしまうというのは、いまのプレハブ建築を超えているといっても過言ではないでしょう。基本的に釘などで無理に固定しないで、「仕口・継手」といわれる木材の接合技術です。

・仕口継手技能　　 ＠　ものつくり大学

ちょうど、今月号の「サライ」という雑誌に安井杢工務店の安井清さんのインタビュー記事が載っていました。

サライ　１０月４日号

例えば、日本建築は凝集の美しさ、西洋建築は拡大の美しさです。そこを理解しておかんと、力学の考え方もようわからんようになってしまう。西洋的な考え方では、外からの力に対して、どの程度の力で受けるかと、"力対力"で考えます。ですから、建材の重さや地震などの大きな力に耐えられるよう太い柱を使う。一方、でんとうてきなにほんけんちくでは、そとから受けた力の衝撃をいかに吸収して外に逃がすかと、と工夫します。

正直、ついこの間まで数奇屋なんて奇抜なだけだ見たいに「食わず嫌い」しておりました。最近、いろいろなご縁で日本建築に触れるにつけ、その美しさと合理性に目覚めつつあります。４００年続く棟梁の伝統を受け継ぐ安井清さんのお言葉には実に力強さがあります。安井さんのお言葉と現実の幾多の震災を生き延びて来た建物の迫力の前には、西欧の合理性の上に仮定に仮定を積み重ねた現代の建築基準法の構造基準はうすっぺらなものに見えてしまいます。