本物の音楽、本物の絵、本物のお料理、感動に打ち震えるとき、文字どうり鳥肌が立ち、背筋が逆立ちます。粟立つといいますが、私は本当に感動すると身体中の毛が逆立ちます。私は、すばらしい建物を身体が全体で反応してしまうことがあります。
先日たまたまある会合に出席させていただくために箱根湯本へ行く機会がありました。早くついてしまったので、知人に教えてもらった暁庵さんへおそばを食べに行きました。なかなか茶目っ気のある友人なので、なんの事前の知識も教えてくれず、ただ箱根に行ったら必ず行けとだけ言われていました。正直、暁庵の前で一瞬「?」と立ち止まりました。なにが「?」だったかは、これを読まれた方が行かれたときのお楽しみにしておきましょう(笑)。
でも、入ってみて正解でした。
至福の時間でした。
今、酒蔵の再生の仕事に携わらさせていただいているのですが、その答えがここにありました。
手作りのお豆腐、お漬物2種類、焼き味噌、たったこれだけの肴でお酒の香りが口中にふくよかに広がりました。お豆腐は特にこだわられているそうで、箱根の井戸水と選び抜かれた大豆で作られているそうです。一人でお酒をいただくことはまずありえない私なのですが、この時ばかりは戒を破りました。
おそばももりと、とろろそば、鴨南蛮の3種類しかありません。それでも、十分すぎるくらいです。
しかも、そばを食べた後、素敵なお庭の中に数奇屋造りの建物が見えたので、「拝見していいですか?」とお聞きしたら快諾いただき、すっかりお庭と「暁亭」と呼ばれる建物を見せていただきました。
暁亭は元々山県有朋が奥さんのために建てたのだそうです。
・暁亭について @ 箱根湯本ホテルHP
奇をてらいすぎるというか、作りすぎている感じがして数奇屋の建物はあまり好きでなかったのですが、すばらしいおそばとお庭とこの暁亭とトリプルパンチにノックダウンしました。本当にすばらしいです。日本に生まれてよかったと実感しました。
・数寄屋造り @ wikipedia
元々茶の湯から今の意匠ができたのだと聞いています。伝統的な書院造りとかからするといかに繊細に作るか、いかに省略できるところを省略するかが特徴なのではないでしょうか。そういえば、暁亭には元々のお茶室が2つもありました。wikipediaには代表的な数奇屋造りの「遺構」が載せられていましたが、機会があれば行ってみたくなりました。