「我が家の五箇条」
その取材がきちんと掲載されてから書くべきなのですが、おしゃべりな私は書いてしまいます。
平山建設のルーツをたどると、曽祖父平山金吉が1901年、明治34年に成田で木材・炭などの商いを始めた時点までさかのぼれます。大変、苦労して 商売をはじめたことを聞いています。それでも、昭和の初期の頃には、「我が家の五箇条」という家訓を渋沢栄一の渋沢家の家訓を参考にして作ったと聞いてい ます。
我が家の五箇条 平山家一、萬神霊を敬拝し、忠君の道に深厚なれ
二、人たる道の第一歩は、孝の一字よりはじめよ
三、一旦事業を起こさば忍耐恒久、みだりに変更放棄為すべからず
四、良友を選交損友を遠ざけ、己に諂うものに心許す無かれ
五、富貴に奢らず貧賤を憂えず、益々洪基の心を蓄えよ
私が特に意識しているのは、「みだりに変更放棄為すべからず」という言葉です。事業がよくても、悪くても、「本当にいまやっているこの事業でよいの だろうか?もっと別にやるべき商売があるのではないか?」という疑問に経営者は駆られます。しかし、いま自分のやっていることに全身全霊をかけることに よって初めて真剣な努力も、知恵も生まれます。「おいしい話」をよせられるたびに、この言葉を思い出します。
「富貴に奢らず貧賤を憂えず」も好きな箇所です。事業には必ず浮沈がつきものです。いいときもわるいときも必ずあります。よくてもわるくても平常心にいつづけ、将来のためにひとつひとつ準備を怠らない。大きな事業に向かって取り組んでいく。そんな風に捉えています。
いずれにせよ、自分の事業への向き合い方に疑問を感じた時には、必ずこの家訓に戻ります。自分自身を戒め、自分の向くべき方向性を、数々の口伝えの話とともに確認します。
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