耐震偽装事件以来、建築の構造についていろいろと取りざたされています。もう世間では風化してしまった事件かもしれませんが、我が業界ではまだまだ解決のつかない問題です。
私も事件があってから構造の勉強をしなおしました。
建築の構造とは、結局重さという力をどのように伝えるかということです。屋根や柱、梁などの建物自重からはじまり、屋上の機械設備から、床の上に置く荷物など、支えるべき重さの推定から実は構造計画というのは始まります。そして、その重さをどのように床で受け、梁に伝え、柱に伝え、最終的には地盤に受けさせるかまでをきちんと計画し、施工することが建築の構造です。
力をどう伝えるかの考え方で一般の建築物では、柱梁によって主に伝える方法をラーメン構造、壁全体を使って伝える方法を壁構造と言います。
・ラーメン構造 @ wikipedia
また構造体の材料の種類によって、おおまかに3種類にわけられます。
・木造
・鉄骨造 (Steel Structure = S造)
・鉄筋コンクリート造 (Reinforced Concrete Structure = RC造)
いわゆる2x4とか、木質パネル工法とかいわれているものは、木造で壁式の構造体といえます。 在来工法といわれる工法は基本的にラーメン構造ですが、かなり略式の構造計算しか一般には行われていません。
鉄骨造は重量鉄骨造と軽量鉄骨造に分かれます。構造体の鉄骨の厚さで分けられます。「プレハブ(PreFabric)」といわれうものは、軽量鉄骨だと考えてよいでしょう。厚さが6mmを超える鋼材で、よくビルや商業建築などに使われるものは、重量鉄骨です。スチールハウスのように壁構造の鉄骨造も存在しますが、基本的にはラーメン構造だと考えてよいでしょう。
鉄筋コンクリート造、もしくはプレキャスト・コンクリート造は、3階立て以上のビルやマンションに広く用いられています。壁式構造では5階まで、ラーメン構造なら...いまの日本の技術ならお金さえあればほとんど何階でも、建てられます。
・鉄筋コンクリート造 @ wikipedia
ここまでが基本の基本なのです。
構造についていろいろ調べていて、耐震偽装の問題がまだ我が業界にとって終わった問題ではないことが感じられるページを見つけました。
・耐震強度偽装事件とその後の法改正について @ 日本建築構造技術者協会
まだ法改正を含めて建設業界としての対応は終わっていません。現実の問題としても、耐震偽装事件の被害に遭われた分譲マンションの方々の建替えもここのところの建築費の高騰によってますます困難になってきていると聞いています。
建築の構造など私には関係ないと思われる方が多いと思いますが、実は落とし穴はすぐそこに潜んでいます。用途に応じてどのような構造体を選ぶか、どのような住まいの権利関係を選ぶかかどでもしかすると一生に影響するかもしれないのです。