私は、いま自分で外断熱鉄筋コンクリートの家に住み、外断熱鉄筋コンクリートの建物を建てる仕事をしています。ですから、どうしても外断熱について書くときに自分の思い入れを排除して書けませんでした。その辺を、頭においてお読みください。
外断熱ってなに?
まず、明確にしたいのは、内断熱、外断熱という考え方は、もともと鉄筋コンクリートの 概念だということです。最近、木造の外断熱という看板をよく見ますが、外壁通気工法というべきだと私は思っています。木造には本来なかった外断熱という言 葉を、木造の工法につけたように私には見えます。しかし、名前が違ったからといって、性能が変わるわけではありません。外壁通気工法は、それなりにすぐれ た工法です。私が、「外断熱は鉄筋コンクリートの考え方」というからといって、それぞれ、ハウスメーカーさんや地方のビルダーさんが掲げている性能を否定 するわけではありませんので、ご留意ください。
さて、これまで日本の鉄筋コンクリート住宅では、内断熱が採用されてきました。内断熱とは、鉄筋コンクリートの内側に防水層と断熱層をもうける方法 です。火事や、地震の多い日本では、とにかく建築は防火、防災ということが大事な問題とされてきており、断熱材のようなものを外側に設けるというのは、防 火上、防災上好ましくない、とされてきたようです。そこで、鉄筋コンクリートは吹き付けの断熱材を一定の厚さ以上ふきつけるなどの方法で、部屋の中には、 外側の熱が伝わらないようにしてきました。
では、どうして外断熱が最近もてはやされているのでしょう?
その前に、断熱材としての性能を表す2つの言葉を説明させてください。「熱伝導率」と「熱容量」です。
まず、「熱伝導率」です。これは、ある材料が熱をどれぐらい伝えやすいかを示す数値です。厳密にいうと一定の温度の差がある時、単位時間(普通1時 間)、単位面積(普通1?)当たり、どれくらいの熱エネルギーが伝わるかを示す指標です。熱伝導率を数値で表すと、鉄筋コンクリートは木の10倍熱を伝え やすいのだそうです。今度は、木を外断熱でよく使われる発砲ポリスチレンを比べるとの更に5倍の熱伝導率だといわれています。つまり、鉄筋コンクリート は、断熱材の50倍熱を伝えやすいといことです。一言で言えば、鉄筋コンクリートは、熱伝導率が非常に高いので、外部の温度を伝えてしまうため、よく言わ れる冬の底冷えや、梅雨時の結露がおこるのです。
次に、「熱容量」です。熱容量は、どれくらいの熱量(カロリー)を一定の重量のうちにふくむことができるか、という数値です。これが鉄筋コンクリー トは非常に大きいのです。例によって木と比べると3倍熱を含みやすいのです。更に、鉄筋コンクリートと発砲ポリスチレンと比べると200倍以上熱を貯めや すいといわれています。鉄筋コンクリートの建物で、夏の夜に非常に寝苦しいことがあります。鉄筋コンクリートは熱をためやすいので、昼間に受けた熱が夜に なっても放出しきれない、暑い熱がさめないのです。壁や天井から熱の放出がつづくので、「寝苦しい夜」という現象につながります。
この2つのキーワード、熱伝導、熱容量、を使って、内断熱と外断熱をくらべると、その違いがよくわかると思います。
イメージしていただければわかりますが、内断熱では、熱を伝えやすく、貯めやすい自分の身体をそのまま暑い夏の日さらすようなものですよね。逆に、冬の寒さに薄着をしながら下着だけを厚く着るようなものですね。
このイメージをもって、鉄筋コンクリートの、底冷え、結露、熱の放出を妨げるためには、どうしたらよいか考えてみてください。そうです、まず洋服を きちんと着るように、断熱をきちんとすることですね。では、下着のように内側に断熱するのと、コートを羽織るように外側に断熱するのとで、どちらが有効で しょうか?そうです、人が寒いときに厚いコートを着るように、外断熱は熱を伝えやすく、熱を持ちやすい、あなたの身体のように敏感な鉄筋コンクリートその ものを寒さ、暑さに直接さらさない、ということが特徴なのです。
鉄筋コンクリートは、非常に堅固で、遮音性などもたかく、優れた工法だと私は考えています。外断熱にすることにより、鉄筋コンクリートの弱点をおぎない、すぐれた点を生かすことが可能だと、感じております。
木造の内断熱、中断熱などの言葉もあります。これらはおいおい説明させていただきます。
■参照
・鉄筋コンクリート造の断熱塗料 by 川畠 康文さん
・外断熱についてのブログを表示する.
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