構造の違いは住宅の住みやすさや将来にわたる耐久性について一般に考えられているよりもはるかに大きく影響します。資産のつもりで作った家や賃貸マンションが実は30年とか長い時間の中で見ると負債にすぎなかったということになりかねません。この基本について理解しておかないと、住まう方の資産形成の上でも、家族の幸せ実現の上でも重大な問題になってしまうので、読んでやってください。
鉄筋コンクリートとは、その名の通り、「鉄筋」と「コンクリート」の組み合わせで建築の構造体を作る方法を言います。鉄筋とは、その名の通り「鉄」でできている棒というか紐のような形をしている材料です。あまりよい写真がないのですが...
↓ な感じのものです。
使われる場所によって全然太さが違いますが、細いもので直径9?13mmくらいで、主筋とよばれる太物だと38mmとか41mm径くらいあります。鉄筋は長い棒のようなものですから、横にもつとたわんでしまうのですが、長手方向への引っ張ってもほとんど変形しません。
「コンクリート」は、逆に押される力に非常に強いです。化学変化により硬化すると1平方ミリメートル当たり2トンもの力が加わっても平気です。ちなみに、乾燥して硬化するのでは決してありません。
鉄筋コンクリートを組み合わせて、柱や梁やスラブと呼ばれる床板などにより、構造体が作られます。建築の構造体というのは、上から下に順々に加わっていく建物自体の重さと、建物の内部の家具やら設備やら人やらの重さの両方を支えます。垂直の重さだけでなく、地震の時などには横向きの力も加わります。これらの力が複雑に働くのに、建築の構造体は対抗しなければなりません。このため、場所、部位によって重さから押される力が主に働いたり、引っ張られる力が主に働く場所が出てくるのですが、これらを「構造設計」という手法によって求め手当します。そして、具体的にどれくらいの重さや力が働くのかを「構造計算」によって求めて、必要な鉄筋の太さ本数、コンクリートの強さ、柱やはりの太さ数値として求められます。
ここで面白いのが、実はコンクリートが押す力と鉄筋が押し返す力がちょうど等しいということです。もっと興味深いのが、コンクリートと鉄は熱膨張率がいっしょなのです。熱膨張率とは、どれくらいの温度でどれくらいの比率で伸びたり、縮んだりするかをあらわします。ですから、夏でも冬でもさまざまな環境下でコンクリートから鉄筋が決して抜けない非常に理想的な関係が生まれるのです。
コンクリートの大事な材料であるセメントは古代ローマ時代から使われているくらい歴史があります。
鉄も金属の中では最も豊富に存在しているのだそうです。余談ですが、地球上だけでなく宇宙全体でも金属としては最も一般的に存在しているのだそうです。ですから、鉄筋コンクリートは建築物のような大きなものにつかうことができるほど、材料も豊富ですし、その支える力から考えればコスト的にも有利なのです。
ただ、前回お話したようにこのようにすばらしい材料である鉄筋コンクリートですが、断熱の面では木材などと比べて不利な面があります。
・外断熱ってなに?
建築材料にはそれぞれの特性があります。この特性に応じて使い分ける必要があります。鉄筋コンクリートは耐久性が高く、長期にわたって構造を支えることができ、高層階を作れるるので、マンションやオフィスなどの大きな建物に使われます。逆に、断熱性が高く、軽くて丈夫なので、一般の戸建のほとんどは木造ということになります。ま、私が携わらせていただいているように鉄筋コンクリートの外断熱住宅も増えてきてはいますが。